ARTIFICIAL INTELLIGENCE

要件のコードの整合をとる開発プラットフォーム

生成AIや自然言語処理などの高度なAI技術は、ソフトウェア開発者とプロジェクト・マネージャーを同じ目線で協業するのを支援します。デジタル・エンジニアリングの変革を専門とするALTEN グループのACL Digital社は、コード・リポジトリと要件管理ツールの整合をとるプラットフォームを開発しました。

一般的に、開発者はコーディングに集中し、プロジェクト・マネージャーは要件/納期/リスクの管理に集中するため、開発者とプロジェクト・マネージャー間の連携不足は、非効率/製品納期の遅延/コスト増につながります。そして主要な課題の1つは、開発されたソース・コードが、製品管理チームが指定した要件に適合していることを確認することです。プロジェクト・マネージャーは、ソース・コードをメイン・ブランチに統合する前に、ソース・コードがもたらすセキュリティ脆弱性を特定し、その影響を評価する必要があります。 ACL Digitalは、コード・リポジトリ(GIT)と要件管理ツール(JIRA)のギャップを埋め、両システムをシームレスに統合するAI主導のプラットフォームを開発することで、この課題に取り組む顧客を支援しました。

顧客の課題:ソースコード・リポジトリとプロジェクト管理ツールの整合性を向上

ALTENのソリューション:生成AIを搭載し、コード・リポジトリと要件管理ツール間の即時更新によるワークフローの自動化/タスクの効率化/リアルタイム分析を提供することでリスクを軽減させるプラットフォームの開発

導入によるメリット 

  • チームによるプロジェクト進捗の迅速な評価の実現
  • コードの品質向上
  • 工数の削減
  • チーム間の協業と効率性の強化
  • l開発の迅速化
  • l潜在リスクの早期特定の実現
  • プロジェクト目標と開発進捗の整合

導入効果のKPI

  • AIによる質疑対応により、承認時間が40-50%短縮
  • コードの要修正箇所の特定が30-40%高速化
  • 要件とコードの整合性を追跡する時間が50-60%短縮
  • AIによるコードレビューによりバグ数が50-60 %減少

意思決定の高品質化と迅速化

このプラットフォームの目標は、コードが追加/修正された際にプロジェクト・マネージャーに通知し、製品管理チームとエンジニアリングチームの間で即座に最新情報を提供することです。生成AIを搭載したこの革新的なプラットフォームは、ワークフローの自動化や、タスクの調整により、チームがリアルタイムで最適な意思決定を実現しました。プロジェクト・マネージャーはダッシュボードでリスクや進捗状況を即座に確認できるため、より早く、より低リスクでの製品開発が可能になりました。

さらに、プルリクエスト(開発者がレビューのために提出したコードへの変更)が要件に合致しているかどうかをシステムが自動的にチェックし、高度なフィードバックを提供することで、プロジェクト・マネージャーの意思決定の品質向上と迅速化を支援。また、GITやJIRAのような既存のツールと連携するため、ワークフローの大幅な変更は不要です。

プロンプトに基づくシステム

開発者がプルリクエストを作成した際、AIは要件管理ツールを更新し、高度な大規模言語モデル(LLM、Sentence Transformer、BERT、Llama 2、Code Llamaなど)や自然言語処理(NLP)技術を用いて、要件とソースコードの関連性を分析し、必要に応じて改善提案を行います。また、ベクトル類似性(QdrantDBとChromaDB)による検索/取得システムの品質を向上や、Amazon Web Services (AWS)の活用による大規模なプロジェクトを容易に処理できる高い拡張性を実現しました。

効果的なチームワーク

ALTENの専門知識は、これらのツールの導入と最適化において重要な役割を果たしました。各チームメンバーには明確な役割と責任が割り当てられ、アーキテクト1名、バックエンド開発者2名、フロントエンド開発者1名、AIエンジニア1名、UXデザイナー1名、DevOpsエンジニア2名、QAスペシャリスト1名から構成されます。チーム内では、Slack、Jira、GitHubなどのツールによってシームレスな連携が行われました。また、2週間ごとのデモ公開による成果報告は定期的なフィードバックを可能にし、それに合わせた強固な連携に基づくテスト、CI/CDパイプラインにより、滞りのない開発を実現しました。

本番環境で報告されたバグ数は極めて少なく、開発と品質保証のプロセスの強靭性を示す結果となりました。また徹底したテストにより、プロジェクトの各フェーズで品質管理が機能しました。定期的なコードレビューとコーディング基準の遵守により生産性を最大化し、不具合が本番環境で発生する可能性を低減しました。

高度化・迅速化・連携強化の実現

開発した新しいプラットフォームには多くの利点がありました。 コードと要件の整合をとることで、AIシステムは製品開発チームとエンジニアリングチームの橋渡しをし、全員が同じ目標に向かって作業が可能となりました。 また、コードが要件を満たすかをチェックするだけでなく、コードを小さなタスクに分解し、タスクの進捗を自動的に更新します。そして進捗に係る最新の分析により、プロジェクトチームは、潜在的な問題が深刻化する前に対処することができるようになりました。併せて、AIが生成する高精度なフィードバックにより、開発プロセスをより効率的にし、エラーを最小限に抑えました。 もうひとつの利点は、自動化されたワークフローによって手作業が減り、開発者やプロジェクト・マネージャーが高付加価値のタスクに集中できるようになった点です。

また、本プラットフォームは使い慣れたツールで動作するため、学習コストも最小限に抑えることが可能です。認証、ダッシュボード、バックグラウンド・タスク、AI統合のためのアプリケーションインターフェースを備えた強力なバックエンドと、高い拡張性を提供するように設計されたコードにより、プロジェクトは複雑であるにもかかわらず、効率性を維持しやすい構造となっています。